非行に、はしる少年は私たちに「なに」を伝えたいのか?
現在、日本でも非行に走る少年たちのニュースをよく見かけます。最近では、2020年1月30日に起こった、「中学3年の男子高校生が高齢女性を金づちで殴打した」や、2月25日に起きた「女子高校生が、同級生の男子を刃物で刺した。」などなど沢山の非行少年たちが問題を起こしています。
この非行少年のたちは、なにか恨みがあって起こした問題なのか。。それは、ニュースの記事を読む限りは、そうではありませんでした。
それでは、なぜ少年たちが、殺人、窃盗、暴行、などなどの問題を起こしてしまうのか。今回は、宮口幸治さんから出版されている「ケーキの切れない非行少年たち」を元に解説していきましょう。
はじめに
宮口幸治さんは現在、大学で臨床心理系の講義を担当されている方で、もともは精神科医の方だったのです。
前までは、大阪の公立精神科病院の児童精神科医として勤務をされており「発達障害、被虐待、不登校、思春期」の子供たちの診察をされていました。殺人などの重大犯罪を犯した成人や少年たちの診察もされておられ、そこから学ぶことが多くあったそうです。
この経験から元にされており、接し方などの改善点が本書には書かれています。それでは本題、
少年たちは私たち(親、先生)に「なに」を伝えたいのか?
世の中が歪んで見えている
本書の図とは、まったくの別ものです。すこしわかりにくいですが説明していきます。写し合わせたと写真と思ってください。
例えば、非行少年に「青のグラフの通りに違う紙に書いてみて。」といいます。普通なら青のグラフ通りに線を引けるはずです。しかし、赤色のグラフ線は非行少年が書いたもの、いわば
「青色が非行をしていない人達が見える世界、赤色が非行少年たちの見える世界」なのです。
※本書では、もっとわかりやすく図が存在します。
これにより、被害者の顔そのものが違うものに見えてしまい罪悪感そのもの感情がわきずらく「反省以前の問題」になるのです。そのため同じ事を繰り返すことに繋がってしまいます。
他にも、
- 簡単な足し算や引き算ができない
- 漢字が読めない
- 簡単な図形を写せない
- 短い文章すら復唱できない
といった少年が多くいたそうです。見る力、聞く力が弱く、そのせいで勉強が苦手ということになるだけではなく、聞くのが苦手なため対人関係で問題になりイジメに繋がったりしてしまいます。
気付いて欲しい。
非行に走ってしまった非行少年たちは周りから「気づいて欲しい」かったんです。
サインの「出し始め」は小学二年生から出始め、非行少年の多くは「勉強に付いていけない、遅刻が多い、宿題を出さない」を起こし始めます。それにより周りからは「手が焼ける子だ」と認知され、友達からは馬鹿にされイジメに遭ってしまいます。
そこから、周りから少し距離を置かれる存在になってしまい一人孤独になってしまうケースが多くあるからです。孤独になった結果、非行少年たちは私たち(親、先生)に気付いて欲しくて「窃盗、暴行、殺人」といった
重犯罪に手を出してしまうのです。
非行少年たちの共通点があった
非行少年たちの多くは「勉強ができない、人と話すのが苦手、融通が利かない、思い付きで行動する、力加減ができない」などのいくつかの分類に分けられています。
- 認知機能の低さ
- 感情統制の弱さ
- 融通の利かなさ
- 不適切な自己評価
- 対人スキルの乏しさ
- +一身体的不器用さ
この五点セット+一つが非行少年たちの多くに当てはまる事だったんです。詳しく言うと
認知機能の低さ
見たり聞いたり想像する力が弱い。
感情統制の弱さ
すぐ感情的になる
融通の利かなさ
物事の変化に弱い
不適切な自己評価
自信がありすぎる。自信がなさすぎる。
対人スキルの乏しさ
人とのコミュニケーションが苦手
+1身体的不器用さ
力加減ができない、身体の使い方が不器用。
この特徴が非行少年たちの多くにあたることで、けしてこれに一つでも当てはまったとしても悪いことではありません。
対処法とは
一番の対処法としては、すぐに子供の状態に気付いてあげる。ことがものすごく大事なことです。
学校で、勉強についていけてない、イジメに遭っている、などの問題が起きているのなら、まず病院で診断をするなり学校に相談して過ごしやすいクラスに変えるなどの変化が必要です。
子供たち(少年たち)が何も「気づいてもらえず」、非行にはしった後では遅いのです。
本書では、「ではどうすれば?一日5分で日本を変える」で沢山の改善法を紹介されています。その中からいくつか紹介したいと思います。
5分で出来るトレーニング
コグトレ
コグトレとは、認知機能を構成する5つの要素(記憶、言語理解、注意、知覚、推論、判断)に対応する「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」の5つのトレーニングからなる
準備するものは 紙、鉛筆
- 写す「点つなぎ」
見本の図形とうりに紙に写し取る
視覚認知の基礎力を鍛えることが出来ます。
- 覚える「最初とポン」
出題者に3つの文章を読み上げ、対象者に最初の単語だけを覚えてもらう。ただし動物の名前が出たら手を叩くといったもの
例
トラの家には大きなツボがあります。
大急ぎではネズミそのツボの中に入ろうとしました。
ツボを壊そうとネコが手で壊しました。
この場合、対象者に太文字を覚えてもらい、トラの時に手を叩いてもらいます。
これは、人の話をしっかり聞き取ることができるトレーニングです。
他にも、視覚に関してのトレーニングなどなど、本書にはあります。
お金をかけなくてもできるトレーニング
感情のペットボトル
用意するもの
4~5この500mlのペットボトル
2Lのペットボトル
- 500mlに様々な感情を貼り付けます「うれしい、くるしい、怒り、さみしい、こわい、不安、かなしい」
- 感情の重さを考えて水を入れる。2Lのペットボトルには、「怒り」(満タン)500mlのペットボトル「うれしい」は、空っぽ。
それぞれの感情の重さを身体で感じてもらうものです。怒りの場合は、出題者に渡すというのがルール。
これにより、怒りを感じてしまった時の行動は人に与えるものが大きいこと子供の身体で感じてもらい理解してもらうトレーニングです。
他に、本書では「新聞紙を使った身体の機能を向上するもの」や、「綿棒を使った指先の細かな運動をするトレーニング」等があります。
まとめ
非行にはしる少年たちが、けして頭が悪いのではなくIQに関しては、特に問題がなく落ちているのはワーキングメモリーが低いことがあります。
ワーキングメモリーとは、
情報を一時的に保持する脳の機能。
本書から学ぶことが多く、非行にはしる少年たちは「なぜ事をおこすのか」という問題点に着目されており今後の少年たちの対応の仕方を考えさせられます。
また、子供たちが出しているSOSにいち早く気付いてあげるのも「親、学校の先生、友達」の役目だと思います。